「走行距離が10万キロを超えたから、もう値段はつかないよね」「10年乗ったし、廃車にするしかないかな」――そう思っていませんか。
元中古車ディーラーのぼくから言わせてもらうと、10万キロ超え・10年落ちでも、値段がつく車はたくさんあります。車種によっては、思っていたよりずっと高い金額になることもあります。
この記事では、古い車や走った車に値段がつく理由、逆に値段がつきにくいケース、そして廃車にする前に必ずやってほしいことをお話しします。
「10万キロ・10年で価値ゼロ」は昔の話
ひと昔前は「10年・10万キロが車の寿命」とよく言われていました。たしかに国内で中古車として売るときは、10万キロを超えると買う人が減るので、値段は下がりやすくなります。
でも今の車は、エンジンや部品のつくりがよくなっていて、きちんと手入れしていれば10万キロを超えてもふつうに走る車が多いです。そして何より、日本の中の買い手だけで値段が決まるわけではない、というのが大きなポイントです。
ポイント:「国内で売りにくい」と「価値がない」は別の話。古い車の値段は、海外や部品の需要にも支えられています。
古い車・走った車にも値段がつく3つの理由
1. 海外に輸出されて、まだまだ走る
日本の中古車は、アジアやアフリカ、中東などの国でとても人気があります。日本では「古い」と言われる車でも、海外では「日本の車は丈夫で長持ち」と評価されて、20万キロ、30万キロと走り続けることも珍しくありません。
特に、丈夫なことで知られるSUVやワンボックス、商用のバン、ディーゼル車などは、走行距離が多くても輸出向けに値段がつきやすい傾向があります。お店は「この車は輸出に回せる」と判断すれば、国内での人気とは関係なく買い取ることができるんです。
2. 部品としての価値がある
車として走らせるのが難しくても、エンジンやミッション、ライト、ドアなど、まだ使える部品には値段がつきます。修理用の部品として国内外で売られたり、最後には鉄やアルミなどの資源として使われたりします。
そのため「車としての値段はつかないけど、部品や資源としての値段はつく」というケースも多いです。
3. 車種によって値落ちの仕方がまったく違う
同じ10万キロでも、車種によって評価は大きく変わります。
| 車のタイプ | 10万キロ超えでの値段のつき方(目安の傾向) |
|---|---|
| SUV・クロカン系 | 輸出の需要があり、値段がつきやすい |
| ワンボックス・商用バン | 仕事用の需要が強く、走行距離が多くても値段がつきやすい |
| ハイブリッド車の一部 | 人気車種なら値段がつくこともある |
| 軽自動車・小さなコンパクトカー | 国内向けが中心で、下がりやすいことが多い |
| 人気が落ちたセダンなど | 値段がつきにくいことがある |
あくまで傾向で、同じタイプでも車種や年式、状態によって変わります。ご自分の車の相場が気になる方は、車の買取相場の調べ方のやり方で、まず目安をつかんでおくと安心です。
ディーラー時代にあった話
ディーラー時代、15万キロを超えたワンボックスを「もう値段はつかないと思うので、引き取ってもらえれば」と持ってこられたお客さまがいました。ところが調べてみると、その車種は輸出向けの需要が強く、ご本人が思っていたよりずっと高い金額で買い取ることができたんです。お客さまがとても驚いていたのをよく覚えています。
逆に、まだ6万キロくらいの軽自動車でも、年式が古くて人気が落ちていると、思ったほど値段がつかないこともありました。走行距離だけで決まるわけではない、ということですね。
値段がつきにくいのはこんなケース
もちろん、どんな車でも高く売れるわけではありません。値段がつきにくいのは、例えばこんなケースです。
- エンジンがかからない・動かない(不動車と呼ばれます)
- 水につかった跡がある(冠水車。電気系統が傷みやすく、敬遠されます)
- 大きな事故で骨格まで傷んでいる
- オイル交換などの手入れをほとんどしていない
- 国内向けの需要しかなく、年式も古い車種
ただ、こういう車でも「ふつうの買取店では値段がつかない」だけで、部品や資源として値段をつけてくれる売り先があることは多いです。事故で直した車の場合は、修復歴ありの車の査定の記事も参考にしてください。
注意:「値段がつかない」と言われても、すぐに廃車の手続きにお金を払う前に、ほかの売り先にも聞いてみてください。
廃車にする前に、必ずやってほしいこと
古い車を手放すとき、いちばんもったいないのが「お金を払って廃車にしてしまう」ことです。その前に、次の順番で動いてみてください。
- ふつうの買取の見積もりを取る:まずは何社かに見てもらいます。輸出や部品のルートを持っているお店なら、思わぬ値段がつくことがあります
- 廃車買取のお店に見積もりを頼む:ふつうの買取で値段がつかなかったら、廃車や過走行車の買取をしているお店に聞きます。動かない車でも引き取ってくれて、値段がつくこともあります
- 金額と手間を比べて決める:引き取りの費用や手続きの代行がふくまれているかもあわせて確認します
まずは今の車にいくらの値段がつくのか、何社かに見てもらって比べてみましょう。
ふつうの買取店で「値段がつかない」と言われた車は、廃車や過走行車の買取をしているお店にも聞いてみてください。
ポイント:「廃車にする」は最後の手段。その前に、買取と廃車買取の両方で見積もりを取るだけで、結果が変わることがあります。
ディーラー時代には、新しい車を買うときに「古い車は廃車でお願いします」と言われ、手続きの費用をいただいて引き取るケースもありました。でも、あとから考えると、その中には買取に出せば値段がついたかもしれない車もあったと思います。お客さまが「どうせ値段はつかない」と思い込んでいると、お店側からわざわざ「ほかで見積もりを取ってみては」とは言いにくいものです。だからこそ、売る人のほうから比べにいくことが大切なんです。
10万キロ超えの車を少しでも高く売るコツ
古い車や走った車でも、ちょっとした準備で評価が変わることがあります。お金をかけずにできることばかりなので、ぜひやってみてください。
- 整備記録簿(点検の記録帳)をそろえる:走行距離が多い車ほど、「きちんと手入れしてきたか」が見られます。オイル交換やタイミングベルトなどの交換記録があると、安心材料になります
- 動くうちに売る:エンジンがかかって自分で走れる状態なら、それだけで売り先の選択肢が広がります。動かなくなってからだと、運ぶ費用がかかったり、値段が下がったりしやすいです
- 車内をきれいにしておく:古い車でも、車内がきれいだと「大事に乗られてきた」と伝わります
- 車検が切れる前に動く:車検が切れると公道を走れなくなり、運ぶ手間が増えます。車検の時期が近いなら、通す前に売り先を探すのがおすすめです
- 「もう古いから」と自分で値段を決めつけない:何社かに見てもらうまで、本当の値段はわかりません
走行距離が多い車は、見てもらうお店によって評価の差がとくに大きく出やすいです。1社目で「値段がつかない」と言われても、がっかりせずにほかのお店にも聞いてみてくださいね。
手放すときに知っておきたいお金の話
古い車を売るとき、または廃車にするときに、意外と見落としがちなお金の話があります。
自動車税
普通車の自動車税は、毎年4月1日の時点で車を持っている人に1年分がかかります。そのため、3月中に手放せるかどうかで、次の年度の税金がかかるかどうかが変わってきます。
売るときは、残りの月の分を「月割りで買取額に上乗せ」したり、別で返してもらったりする形で精算されることが多いです。廃車(抹消登録)にした場合は、残りの月の分が月割りで戻ってくる仕組みがあります。
一方、軽自動車の税金には月割りで戻ってくる仕組みがありません。軽自動車を手放すなら、4月1日をまたぐ前に手続きを終えるのが一つの目安になります。
また、新車登録から長い年数がたった車は、自動車税が高くなる(重くなる)仕組みもあります。乗り続けるほど税金の負担が増える車もあるので、手放すタイミングを考える材料にしてください。売るタイミング全体の考え方は、車を売るタイミングの記事でくわしく話しています。
リサイクル料
リサイクル料とは、車を最後に解体するときにかかる費用を、前もって払っておくお金のことです。多くの車は、新車で買ったときや車検のときにすでに払っています(預けてある状態です)。
車を売るときは、この預けてあるリサイクル料のぶんが、買取額とは別に、またはふくめて精算されるのが一般的です。見積もりをもらったら「リサイクル料はこの金額にふくまれていますか?」と一度聞いておくと、比べるときに迷いません。
そのほかの確認
- 車検が残っている場合、廃車の手続きのしかたによっては、自動車重量税や自賠責保険(車に必ず入る保険)の残りの分が戻ってくることがあります
- 任意保険は、手放したあとに解約や車の入れ替えの手続きを忘れずに
税金や保険が戻るかどうか、細かい条件は手続きのしかたによって変わります。詳しくは、お店や運輸支局、保険会社に確認してくださいね。
まとめ
- 10万キロ超え・10年落ちでも、海外輸出や部品の需要があるので値段がつく車は多い
- 車種によって差が大きく、SUVやワンボックス、商用バンなどは値段がつきやすい傾向
- 不動車・冠水車・大きな事故車などは値段がつきにくいが、売り先しだいで引き取ってもらえることもある
- 廃車にする前に、ふつうの買取と廃車買取の両方で見積もりを取る
- 自動車税は4月1日の時点で持っている人にかかる。リサイクル料の精算もあわせて確認する
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