「車を少しでも高く売りたいけど、何から手をつければいいのかわからない」。ネットで調べると、洗車がいいとか、交渉のセリフがどうとか、いろんな話が出てきて迷ってしまいますよね。
この記事では、元中古車ディーラーのぼくが、本当に効く高く売るコツを4つだけにしぼって紹介します。それぞれのコツは、くわしく書いた記事へのリンクもつけているので、気になるところから読み進めてください。
先に結論を言うと、4つのコツは「相場を調べてから査定へ」「3社以上に見てもらう」「書類と車内をととのえる」「値段が下がる節目の前に売る」です。どれも特別な知識はいりません。
値段の9割は相場、1割は売り方
コツの話に入る前に、ひとつだけ大事な考え方をお伝えします。
中古車の買取額は、その車が市場でいくらで取引されているか(相場)で、9割が決まります。車種・年式・走行距離・グレード・色・状態。このあたりで「だいたいこのくらい」という金額は、売る前からほぼ決まっているんです。
じゃあ売り方は意味がないのかというと、そんなことはありません。残りの1割は、売り方で動きます。1割と聞くと小さく感じるかもしれませんが、200万円の車なら20万円。決して小さくない差です。
相場を変えることはできない。でも、相場の中でいちばん高いところで売ることはできる
逆に言うと、「洗車をピカピカにすれば30万円上がる」「交渉のセリフで倍になる」といった話は、ほぼありません。相場から大きく外れた金額は、どのお店も出せないからです。
高く売るコツは、相場の天井に近いところで売るための工夫だと考えてください。ここからの4つは、どれもそのための方法です。
コツ1:相場を調べてから査定に行く
いちばん大事なのが、これです。自分の車がだいたいいくらなのかを知ってから、査定に行くこと。
相場を知らないまま査定に行くと、提示された金額が高いのか安いのか判断できません。お店側は毎日相場を見ているので、こちらが何も知らなければ、低めの金額から話が始まることもあります。チャンネルでも話していますが、最初は20万円以上安く言われることもあります。
ディーラー時代、下取りの見積もりをお渡ししたあと、お客さまがその場でスマホを出して販売サイトを調べ始めたことがありました。「同じくらいの車が、この値段で売られてるんですね」と。その一言で、こちらも金額を見直すことになりました。相場を知っているだけで、話の進み方が変わるんです。
相場の調べ方は2つ
- 一括査定サイトの相場表示:車種と年式を選ぶだけで、ざっくりした幅がわかる
- 販売サイトからの逆算:同じ条件の車の「支払総額」(車両本体と諸費用を合わせた、実際に払う合計額)から、お店の経費や利益を引いて買取額の目安を出す
くわしいやり方は、車の買取相場の調べ方で、価格帯ごとの例をつけて説明しています。
コツ2:3社以上に見てもらう
2つめのコツは、1社だけで決めずに、3社以上に見てもらうことです。
同じ車でも、お店によって買取額は変わります。理由は、お店ごとに「得意な車」や「売り先」が違うからです。たとえば、SUVを多く扱っているお店、海外に輸出するルートを持っているお店、軽自動車を店頭に並べたいお店。それぞれ、欲しい車が違うんです。
| 比べた社数 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 1社だけ | 提示額が高いか安いか判断できない |
| 2社 | 差はわかるが、どちらが相場に近いかわかりにくい |
| 3社以上 | 金額の幅が見えて、高い提示がわかりやすい |
下取りだけで決めない
新しい車を買うお店で、今の車をそのまま引き取ってもらう「下取り」も手軽で便利です。ただ、下取りの金額は、買い替えの値引きとまとめて話が進むことが多く、車そのものの値段が見えにくくなりがちです。
下取りと買取の違いや、どちらが向いているかは買取と下取りの比較にまとめています。
一括査定は便利だけど、使い方にコツがある
3社以上に見てもらうなら、一括査定を使うのが手っ取り早いです。ただ、申し込んだ直後に電話が何本もかかってくるなど、知っておいたほうがいいこともあります。電話の受け方や、査定日をまとめるやり方などは一括査定のデメリットと上手な使い方で書いています。
まずは、自分の車にどのくらいの金額がつくのか、何社かで比べてみてください。
コツ3:書類と車内をととのえる
3つめは、査定の前に「見られるところ」をととのえておくことです。ここで言っているのは、大がかりな修理や板金のことではありません。むしろ、お金をかけて傷を直すのは、直した費用ほど査定額が上がらないことが多いのでおすすめしません。
やっておくといいのは、お金のかからない準備です。
- 点検整備記録簿をそろえる:記録簿とは、これまでの点検や整備の内容が書かれた冊子のこと。きちんと整備されてきた証拠になります
- スペアキーを用意する:鍵が1本しかないと、お店が作り直す費用を考えて金額を下げることがあります
- 取扱説明書・保証書をそろえる:次に買う人に渡すものなので、あるとプラスに見られます
- 車内をきれいにする:ゴミを捨て、掃除機をかけ、においに気をつける程度で十分です
たばこやペットのにおいは、査定でマイナスになりやすいポイントです。換気や消臭は早めにやっておきましょう
ディーラー時代、査定をしていて「この車は大事にされてきたな」と感じるのは、記録簿がきちんとそろっていて、車内に生活感が少ない車でした。数字に出しにくい部分ですが、査定する側の印象は確実に変わります。
査定前にやると得すること、逆にやらなくていいことは査定前にやると得すること・やらなくていいことでくわしく紹介しています。
コツ4:値段が下がる「節目」の前に売る
4つめは、売るタイミングです。車の値段は、ある日を境にガクッと下がる「節目」があります。代表的なのはこの3つです。
| 節目 | 理由 |
|---|---|
| 車検の前 | 車検を通しても、その費用ほど査定額は上がらないことが多い |
| 走行距離5万kmの前 | 5万kmを超えると「多めに走った車」と見られやすい |
| 年が明ける前 | 年式が1年古く見られるようになる |
たとえば、走行距離が4万8千kmの車なら、5万kmを超える前に査定を受けたほうが有利になりやすいです。車検が近い車なら、車検を通してから売るより、通す前に売ったほうが手元に残るお金が多くなることがよくあります。
ただし、正直にお伝えしておくと、車の値段は基本的に、待てば待つほど下がります。「もう少し待てば上がるかも」と様子を見ているうちに、相場が下がってしまうことも少なくありません。売ると決めたら、節目の前に動くのがいちばんです。
1〜3月の需要が高まる時期や、モデルチェンジとの関係など、タイミングの話は車を売るタイミングでまとめています。
逆に、やっても効果が薄いこと
4つのコツと反対に、「よかれと思ってやったけど、あまり意味がなかった」という行動もあります。時間やお金をかける前に、知っておいてください。
| よくある行動 | 効果が薄い理由 |
|---|---|
| 小さな傷やへこみを修理に出す | 修理代ほど査定額は上がらないことが多い |
| 高いコーティングをしてから売る | 次の持ち主向けにお店が自分でやり直すことがある |
| 社外パーツを付けたまま査定に出す | 好みが分かれるので、プラスに見られないこともある |
| 「他社は○万円だった」と大きめに言う | お店は相場を知っているので、すぐにわかってしまう |
とくに社外パーツ(メーカー純正ではない、あとから付けた部品)は、純正の部品が手元に残っているなら、純正に戻すか、純正部品もいっしょに渡せるようにしておくと安心です。純正の状態を好む買い手のほうが多いからです。
また、交渉で無理に話を盛るのもおすすめしません。お店側は毎日いろんな査定額を見ているので、相場から大きく外れた数字を言われると、かえって話がこじれます。ほかのお店の金額を伝えるなら、実際に出た金額をそのまま伝えるのがいちばん効きます。
高く売るのに必要なのは、お金をかけることではなく「知っていること」と「比べること」
ディーラー時代にも、売る直前に数万円かけて傷を直してきたお客さまがいましたが、査定額はその修理代ほどは上がりませんでした。直す前に一度見せてもらえていれば、と思ったのを覚えています。
お店側から見た「高く売る人」の共通点
最後に、ぼくがお店側にいたころに感じていたことをお話しします。
結果的に高く売っていたお客さまには、共通点がありました。それは、準備をしてから来ているということです。相場をなんとなく知っていて、ほかのお店でも見てもらう予定があって、書類もそろっている。こういうお客さまには、お店も最初から本気の金額を出さざるをえません。
逆に、「今日決めてくれたらこの金額で」と言われて、その場でサインしてしまうお客さまもいました。もちろん納得して売るなら問題ありませんが、あとから「もう少し比べればよかった」と言われることもありました。なお、車の売買にはクーリングオフが使えないので、契約は納得してからにしてください。
高く売るのに、特別な交渉術はいりません。相場を知る、比べる、ととのえる、節目の前に動く。この4つを順番にやるだけで、相場の中でいちばん高いところに近づけます。
まとめ
- 車の値段は相場で9割が決まり、売り方で動くのは1割。その1割で損をしないのがコツ
- コツ1:販売サイトなどで相場を調べてから査定に行く
- コツ2:1社だけで決めず、3社以上に見てもらう
- コツ3:記録簿・スペアキーをそろえ、車内をきれいにしておく(大きな修理はしなくていい)
- コツ4:車検・5万km・年明けなど、値段が下がる節目の前に売る
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