「車を売るなら、いつがいちばん得なんだろう?」。車検が近い、走行距離がそろそろ5万km、来年に引っ越しがある……。売るタイミングに迷っている方は多いと思います。
この記事では、元中古車ディーラーのぼくが、車の値段が下がる「節目」と、比較的高く売れやすい時期を順番に説明します。
先に結論を言うと、車の値段は基本的に、待てば待つほど下がります。そのうえで、「車検の前」「走行距離の段差の前」「年が明ける前」の3つの節目を意識して、その手前で売るのがいちばん損をしにくい売り方です。
大前提:車の値段は待つほど下がる
タイミングの話をする前に、正直にお伝えしておきたいことがあります。
車は、時間がたつほど年式が古くなり、走行距離も増えていきます。つまり、乗り続けている間は、基本的に毎月少しずつ値段が下がっているんです。
「もう少し待てば相場が上がるかも」と考える方もいますが、相場が上がるのは、人気が急に高まったときや、新車が手に入りにくくなったときなど、限られた場面です。ふつうの状況で、待つことで値段が上がるケースは多くありません。
「いつ売るか迷う」なら、迷っている間にも値段は下がっていると考える
ディーラー時代、「来年の春に売ろうと思っている」と相談に来られたお客さまがいました。半年ほど様子を見たそうですが、その間に車検が近づき、走行距離も5万kmを超えて、最初に聞いた金額より下がってしまったとのことでした。売ると決めているなら、早めに動いたほうがいいことが多いです。
このことをふまえたうえで、ここからは「とくに値段が下がりやすい節目」を見ていきます。
節目1:車検の前に売る
車検が近いなら、車検を通す前に売るのがおすすめです。
車検を通すと、車検の残りの期間が長くなるので、査定で多少プラスに見られることはあります。ただ、そのプラス分は、車検にかかった費用ほどにはならないことがほとんどです。お店は買い取った車を自分たちで整備して車検を通せるので、お客さまが払う車検代ほどの価値を感じにくいんです。
| 売り方 | 手元に残るお金のイメージ |
|---|---|
| 車検を通してから売る | 査定額は少し上がるが、車検代の出費が大きい |
| 車検の前に売る | 車検代がかからない分、トータルで得になりやすい |
車検が切れる直前でも売ることはできますが、切れてしまうと公道を走れなくなり、査定に持ち込むのが手間になります。車検の2〜3か月前には査定を受け始めるくらいの余裕を持っておくと安心です。
節目2:走行距離の段差(3万km・5万km・10万km)
中古車の値段は、走行距離が増えるほど下がります。ただ、なだらかに下がるだけではなく、いくつかの「段差」でガクッと見られ方が変わることがあります。
| 走行距離 | 見られ方のイメージ |
|---|---|
| 3万km前後 | 「まだ走っていない車」と「ふつうの車」の分かれ目 |
| 5万km前後 | 「多めに走った車」と見られやすくなる |
| 10万km前後 | 「過走行車」として、一般の店頭に並べにくくなることがある |
中古車を探している人は、販売サイトで「走行距離5万km以下」のように条件を区切って検索することが多いです。5万kmを少し超えただけで、その検索から外れてしまう。だから、お店も値段をつけにくくなるんです。
たとえば、今4万7千kmで毎月1,000kmほど走る方なら、数か月で5万kmを超えます。売ることを考えているなら、段差を越える前に査定を受けておくと有利になりやすいです。
走行距離の段差は目安です。車種によっては、10万kmを超えても海外で人気があり、値段が落ちにくいこともあります
すでに10万kmを超えている、または10年落ちに近い車の売り方は、10万km超え・10年落ちの車でくわしく書いています。値段がつかないと思っていた車でも、売り先を選べば値段がつくことはあります。
節目3:年が明けると1年古く見られる
意外と知られていないのが、年が明けるタイミングです。
中古車の年式は、初めて登録された年(初度登録年)で表されます。年が明けると、同じ車でも「〇年落ち」の数字が1つ増えたように見られます。中身は12月31日と1月1日で何も変わっていないのに、見え方としては1年古い車になってしまうんです。
ディーラー時代、12月に査定を受けて「年明けにまた来ます」と言っていたお客さまが、1月に来られたときには、相場自体はほとんど同じなのに、年式の見え方の分だけ少し厳しい金額になってしまったことがありました。
年末に売るか迷っているなら、年内に査定だけでも受けておくと、比べる材料になります。
1〜3月は需要が高まりやすい時期
一方で、比較的高く売れやすい時期もあります。それが1〜3月です。
この時期は、4月からの新生活(就職・進学・転勤など)に向けて、中古車を探す人が増えます。お店としても、春に向けて在庫をそろえたいので、買取に力を入れやすくなります。また、決算期をこの時期に迎えるお店も多く、台数を集めたいという事情が重なることもあります。
1〜3月は「買う人」が増える時期。お店も在庫を集めたいので、買取額に反映されやすい
ただし、ここで注意したいのが、さっきの「年明けで1年古く見られる」話です。1〜3月は需要が高まる一方、年式は1年古くなっています。どちらの影響が大きいかは車によって違うので、「1〜3月まで待てば必ず高い」というわけではありません。
3月に売るときは自動車税に注意
普通車の自動車税は、4月1日時点で車の持ち主になっている人に、1年分がかかります。3月末ぎりぎりに売ると、名義変更(車の持ち主を新しい人に書き換える手続き)が4月にずれこみ、自分のところに納税通知が来てしまうことがあります。3月に売るなら、名義変更がいつ終わるかをお店に確認しておくと安心です。
なお、普通車の自動車税は、売ったときに残りの月の分が買取額に上乗せされたり、別で返金されたりする形で精算されることが多いです。軽自動車税には月割りの還付がありません。くわしくはお店や運輸支局に確認してください。
モデルチェンジの前に売る
乗っている車のフルモデルチェンジ(車の形や中身が大きく変わる全面改良)が近いなら、その前に売るのもひとつの考え方です。
新しい型が出ると、前の型に乗っていた人が乗り換えのために車を手放すので、中古車市場に前の型が一気に増えます。台数が増えると、どうしても値段は下がりやすくなります。また、「旧型」と見られることで、買う人の気持ちも新型に向きやすくなります。
ただし、モデルチェンジの時期は、メーカーが正式に発表するまでははっきりしません。うわさの段階で慌てて売る必要はありませんが、発表が出たら、早めに相場を確認しておくのがおすすめです。
ライフイベントに合わせて売る
ここまで値段の話をしてきましたが、実際には生活の変化に合わせて売るのがいちばん自然なタイミングです。
- 引っ越しで車がいらなくなる、または駐車場の条件が変わる
- 子どもが生まれて、もっと大きな車が必要になる
- 子どもが独立して、大きな車がいらなくなる
- 転勤や退職で、車の使い方が変わる
こうした予定がわかっているなら、数か月前から相場を調べておくと、慌てずに一番いいタイミングを選べます。相場の調べ方は車の買取相場の調べ方で、販売サイトから逆算するやり方を紹介しています。
ディーラー時代、引っ越しの1週間前に「急いで売りたい」と来られたお客さまがいました。時間がないので比べる余裕もなく、最初に出た金額で決めるしかなかったそうです。予定が決まった時点で動いておけば、もっと選べたかもしれません。
自分の場合はどうする?状況別の考え方
ここまでの節目が重なって、「結局いつ売ればいいの?」と迷う方もいると思います。よくある状況ごとに、ぼくならこう考える、という目安をまとめておきます。
| 今の状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 車検まで3か月以内 | 車検を通す前に査定を受ける |
| 走行距離が4万km台後半 | 5万kmを超える前に動く |
| 11〜12月で売るか迷っている | 年内に査定だけでも受けて金額を知っておく |
| 1〜3月で、節目がまだ先 | 需要期なので、何社か比べて決めやすい時期 |
| 新型の発表が出た | 前の型が市場に増える前に相場を確認する |
節目がいくつか重なっているときは、いちばん近い節目に合わせるのが基本です。たとえば、11月の時点で車検があと2か月、走行距離も4万9千kmという車なら、どれを取っても「年内に売る」が答えになります。
反対に、どの節目もまだ遠いなら、急いで売る必要はありません。そのかわり、今の相場を一度調べておくと、次に節目が近づいたときに判断しやすくなります。相場は月ごとに動くので、数か月おきに見ておくと、自分の車の値段の動き方もつかめてきます。
迷ったら「いちばん近い節目の手前」。節目が遠いなら、相場だけ先に調べておく
タイミングが来たら、まず比べてみる
売るタイミングが近づいたら、何社かに査定してもらって、金額を比べるのがいちばんです。同じ車でも、お店によって欲しい車や売り先が違うので、金額には差が出ます。
タイミング以外の、高く売るためのコツは車を高く売る4つのコツにまとめています。あわせて読んでみてください。
まとめ
- 車の値段は基本的に、待つほど下がる。売ると決めたら早めに動く
- 車検は通す前に売ったほうが、トータルで得になりやすい
- 走行距離3万・5万・10万kmの段差と、年明けで1年古く見られる節目の前に売る
- 1〜3月は需要が高まりやすいが、年式の影響もあるので「待てば必ず高い」わけではない
- モデルチェンジやライフイベントが見えたら、早めに相場を調べておく
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