「査定に行く前に、自分の車がだいたいいくらなのか知っておきたい」。そう思って調べ始めたものの、サイトによって金額がバラバラで、結局どれを信じればいいのかわからない……という方は多いと思います。
この記事では、元中古車ディーラーのぼくが、査定の前に自分で買取相場をつかむ方法を順番に説明します。
結論から言うと、やることは3つです。一括査定サイトの相場表示でざっくり幅をつかむ → 販売サイトの値段から逆算して目安を出す → 年式・走行距離などの条件をそろえて比べる。これだけで、査定のときに「その金額は安すぎませんか?」と言えるだけの材料がそろいます。
なぜ査定の前に相場を知っておくべきなのか
中古車の値段は、その車が市場でいくらで取引されているか、つまり相場で9割が決まります。お店の気分や交渉で動くのは残りの1割くらいです。
だからこそ、相場を知らないまま査定に行くのはもったいないんです。お店側は毎日相場を見ているプロ。こちらが何も知らなければ、最初は低めの金額から話が始まることがあります。ぼくのチャンネルでも話していますが、相場を知らずに行くと、最初は20万円以上安く言われることもあります。
ディーラー時代、下取りの金額に納得して判を押しかけたお客さまが、「念のため」とスマホで同じ車の販売価格を見て、手が止まったことがありました。売られている値段と、提示された金額の差が大きすぎたんです。結局その日は持ち帰って、後日ほかでも見てもらったそうです。
相場を知っていると「安く言われたかどうか」がわかる。知らないと、比べる物差しがない
もちろん、相場を知っても値段が倍になるわけではありません。でも、「安すぎる金額でサインしてしまう」ことは防げます。1円でも高く売るための、いちばん最初の一歩です。
方法1:一括査定サイトの相場表示でざっくりつかむ
いちばん手軽なのは、一括査定サイトに載っている「相場表示」や「買取相場の検索」を使う方法です。一括査定とは、ネットで車の情報を1回入力すると、複数の買取店に査定の依頼ができるサービスのことです。
多くのサイトでは、申し込みをしなくても車種や年式を選ぶだけで、過去の買取実績や相場の目安を見られるようになっています。
相場表示を見るときの注意点
便利な反面、見方には少しコツがあります。
- 幅が広い:「50万〜120万円」のように、上と下でかなり差があることが多いです。グレードや走行距離をまとめて出しているためです
- 少し前のデータのことがある:相場は月単位で動くので、表示が数か月前の実績ということもあります
- 自分の車と条件が違うことがある:色や修復歴の有無までは反映されていない場合がほとんどです
なので、相場表示は「だいたいこのくらいの範囲」をつかむものと考えてください。ここで出た数字をそのまま「自分の車の値段」と思い込むと、あとでズレに戸惑います。
相場表示の上限は、条件のいい車の金額であることが多いです。自分の車も上限で売れると思い込まないようにしましょう
方法2:販売サイトの値段から逆算する(そうた式逆算)
ぼくがいちばんおすすめしているのが、この方法です。カーセンサーなどの中古車の販売サイトに載っている値段から、買取額の目安を逆算するやり方で、チャンネルでは「そうた式逆算」と呼んでいます。
考え方はシンプルです。お店は、買い取った車に整備をして、利益をのせて売ります。ということは、売られている値段から、お店がのせている分を引けば、お店が買える上限=買取額の目安が見えてくるわけです。
使うのは「支払総額」
販売サイトでは「支払総額」を見ます。支払総額とは、車両本体の価格に、登録の手続きや納車にかかる諸費用まで全部足した「実際に払う合計の金額」のことです。2023年10月から、中古車の広告ではこの支払総額を表示することがルールになりました。
以前は車両本体価格だけが大きく書かれていて、諸費用が別にどんどん足される……ということもありましたが、今は支払総額で比べやすくなっています。
逆算の流れ
段階に分けると、こんな流れです。
- 販売サイトで、自分の車と同じ条件の車を探す(年式・走行距離・グレードなど)
- 見つかった車の「支払総額」をいくつかメモする
- 支払総額から「諸費用」を引く(登録や車庫証明の代行費用、納車費用など)
- さらに「お店の経費・整備代・利益」を引く
- 残った金額が、お店が買える上限=買取額の目安
図にすると、こうなります。
| 段階 | 中身 |
|---|---|
| ① 支払総額 | お客さまが払う合計 |
| ② -諸費用 | 登録・車庫証明・納車などの費用 |
| ③ -整備代・経費・利益 | 点検整備、クリーニング、保証、店の利益など |
| ④ =買取額の目安 | お店が買える上限の金額 |
価格帯別の例(すべて例です)
数字があったほうがイメージしやすいと思うので、2つの価格帯で例を出します。ここに出す金額は、すべて説明のための「例」です。 実際に引く金額は、車種やお店、車の状態によって変わります。
例1:支払総額が100万円台の車
| 段階 | 金額(例) |
|---|---|
| 支払総額 | 150万円 |
| -諸費用 | 約15万円 |
| -整備代・経費・利益 | 約30〜35万円 |
| 買取額の目安 | 約100〜105万円 |
例2:支払総額が300万円台の車
| 段階 | 金額(例) |
|---|---|
| 支払総額 | 320万円 |
| -諸費用 | 約20万円 |
| -整備代・経費・利益 | 約45〜55万円 |
| 買取額の目安 | 約245〜255万円 |
値段の高い車ほど、お店が引く金額も大きくなる傾向があります。整備や保証にかかるお金が増えるのと、売れ残ったときのリスクが大きいからです。
逆算で出るのは「お店が買える上限」の目安。実際の査定額はそこから少し下がることが多いと考えておく
ディーラー時代、ぼくたちも仕入れの値段を決めるときは、まず「この車はいくらで売れるか」から考えていました。売れる値段が先にあって、そこから引き算で仕入れの上限を決める。この順番は、どこのお店でも大きくは変わらないはずです。だから売る側も、同じ順番で考えると目安がつかみやすいんです。
同じ条件でそろえて比べる
逆算でいちばん大事なのが、自分の車と同じ条件の車を選ぶことです。条件がズレていると、どんなに丁寧に計算しても目安がズレてしまいます。そろえるべき条件は、次の5つです。
| 条件 | そろえ方のコツ |
|---|---|
| 年式 | 同じ年式か、前後1年以内 |
| 走行距離 | 自分の車の±1万km程度 |
| グレード | 同じグレード名(装備の違いで値段が変わる) |
| 色 | 白・黒などの人気色か、それ以外か |
| 修復歴 | 「なし」同士、「あり」同士で比べる |
修復歴とは、車の骨格(フレームなど、車の土台になる部分)を交換したり直したりした記録のことです。バンパーを擦って直した程度では修復歴にはなりません。修復歴ありの車は値段が大きく下がるので、なしの車と混ぜて比べるのはNGです。
走行距離の「段差」にも注意
走行距離は、3万km・5万km・10万kmあたりで見られ方が変わることがあります。たとえば自分の車が4万8千kmなら、5万kmを少し超えた車と比べると安めに出やすいです。このあたりは車を売るタイミングの記事でくわしく書いています。
1台ではなく、数台の真ん中を見る
同じ条件でも、お店によって値段のつけ方は違います。1台だけ見て決めるのではなく、5台くらい拾って、真ん中あたりの値段を使うのがおすすめです。極端に安い車や高い車は、何か理由がある(状態が悪い、装備が特別など)ことが多いので外しておきます。
支払総額で比べることが大事な理由
逆算のときに「車両本体価格」で比べてしまう方がいますが、ここは必ず支払総額で比べてください。
お店によって、諸費用の中身や金額はけっこう違います。車両本体を安く見せて、諸費用を多めにとっているお店もあれば、その逆もあります。本体価格だけで比べると、実際の値段の差が見えにくくなるんです。
支払総額なら、お客さまが最終的に払う金額で並べられるので、お店ごとの違いがならされます。そこから諸費用を引く形にすれば、条件をそろえやすくなります。
支払総額の表示がない、または「応相談」になっている車は、比べる対象から外したほうが安心です
相場がわかったら、次にやること
相場の目安がわかったら、いよいよ査定です。ここで大事なのは、1社だけで決めずに、何社かに見てもらうこと。目安の金額を持っていれば、どの提示が高くてどれが安いのか、自分で判断できます。
複数の買取店にまとめて見てもらうなら、一括査定を使うのが手っ取り早いです。まずは逆算した目安と、実際の提示額を比べてみてください。
ほかにも、査定前の準備や売るタイミングなど、高く売るためにできることはいくつかあります。全体の流れは車を高く売る4つのコツにまとめているので、あわせて読んでみてください。
具体的な車種の例を見たい方は、ヴェゼルの買取相場の記事で、実際に逆算する流れを紹介しています。
お店側から見た「相場を知っているお客さま」
最後に、お店側にいたころの感覚を少しお話しします。
査定のとき、「販売サイトで同じ条件の車を見てきたんですが、支払総額がこのくらいでした」と言われると、正直こちらは身が引き締まりました。いい加減な金額は出せないな、と思うからです。
逆に、何も調べずに来られたお客さまには、まず様子見の金額を伝えることもありました。お店も商売なので、それが悪いというわけではありません。ただ、相場を知っているかどうかで、最初の提示額のスタート地点が変わるのは本当です。
また、ディーラー時代には「ネットの相場表示では150万円って書いてあったのに」とがっかりされるお客さまもいました。表示は上限に近い金額で、お客さまの車は走行距離が多めだったんです。こういうズレも、同じ条件でそろえて逆算しておけば、事前にわかります。
まとめ
- 中古車の値段は相場で9割が決まる。査定の前に目安を知っておくことが、1円でも高く売る第一歩
- 一括査定サイトの相場表示は「幅」をつかむのに使う
- 販売サイトの支払総額から、諸費用と整備代・経費・利益を引くと、買取額の目安が出る(そうた式逆算)
- 比べる車は年式・走行距離・グレード・色・修復歴をそろえ、数台の真ん中を見る
- 比べるときは車両本体価格ではなく、必ず支払総額で
「自分で逆算するのはちょっと面倒」「相場表にぴったり当てはまる車がない」という方は、ぼくに送ってもらえれば代わりに計算します。LINE無料査定診断では、公式LINEに車種・年式・走行距離を送ってもらえれば、販売サイトの近い掲載車から逆算して、あなたの車の買取額の目安を無料でお返しします。どこのお店にも属していないので、しつこい営業はありません。
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