「契約したあとに『やっぱり金額を下げさせてください』と言われたらどうしよう」
「キャンセルしたら高いお金を取られるって本当?」
車を売るのがはじめての人にとって、契約のあとのトラブルはとても不安ですよね。せっかく納得して決めた金額が、あとから変わってしまったらがっかりします。
この記事では、元中古車ディーラーのぼくが、契約後の減額やキャンセルの話を、お店側の事情も交えながらまとめました。
結論を先に言うと、トラブルの多くは「契約の前の確認」で防げます。 減額の条件、キャンセルの決まり、入金日、名義変更の報告、そして自分から伝えるべきこと。この5つを契約前に確認しておけば、あとで慌てることはぐっと減ります。
契約後の「減額」ってどういうこと?
車の買取での減額とは、契約したあとに、お店が「最初に言った金額より下げさせてください」と言ってくることです。再査定と呼ばれることもあります。
ふつうは、査定のときに出た金額で契約して、その金額が振り込まれます。でも、契約後や車を引き渡したあとに、お店があらためて車を調べて、「査定のときにはわからなかった問題が見つかった」として金額を見直すことがあるんです。
減額が起きやすいのはどんなとき?
減額の理由としてよくあるのは、次のようなものです。
- 査定のときに見えなかった傷やへこみ、サビが見つかった
- 過去に車の骨格部分を直した跡(修復歴)が見つかった
- 水につかった跡や、エンジン・機械の不具合が見つかった
- 査定のときに聞いていた内容と、実際の車の状態がちがった
このうち修復歴は、金額に大きく影響しやすいポイントです。修復歴とは、事故などで車の骨格(フレームなど、車の土台になる部分)を直したことがある、という記録のことです。くわしくは 修復歴ありの車の査定 で解説しています。
お店側から見た減額の事情
ディーラー時代の目線で、お店側の事情も少しお話しします。
査定は、限られた時間で車を見て金額を出します。外から見える部分や、運転席に座って確認できる部分は見られますが、車をばらして中まで調べるわけではありません。だから、あとから細かく調べたときに、査定のときには気づけなかった問題が出てくることは、実際にあります。
お店は買った車を、業者オークション(お店どうしが中古車を売り買いする市場)に出したり、自分の店で売ったりします。そのときに大きな問題が見つかると、お店は想定していた値段で売れなくなります。だから、「契約書に書いてある条件に当てはまる場合は、金額を見直させてほしい」となるわけです。
ただし、これは条件が契約書にきちんと書いてあり、それに当てはまる場合の話です。理由の説明もなく「とにかく下げます」というのは、話が別です。
減額そのものが「全部ダメ」なわけではありません。大事なのは、どんなときに減額があるのかが、契約の前に書面で決まっているかどうかです。
車の売買にクーリングオフは使えない
キャンセルの話をする前に、必ず知っておいてほしいことがあります。それは、車の売買にはクーリングオフが使えないということです。
クーリングオフとは、契約したあと一定の期間内なら、理由を問わず無条件で契約を取り消せるしくみのことです。訪問販売などで使えることで知られていますが、自動車の売買はその対象外になっています。お店に家まで来てもらって査定する「出張査定」で契約した場合でも同じです。
「あとでクーリングオフすればいいや」と思って、その場で契約するのはやめましょう。契約後にキャンセルできるかどうかは、お店ごとの決まり(契約書の内容)しだいです。
キャンセルとキャンセル料の話
クーリングオフが使えない以上、契約後のキャンセルはそのお店の契約の決まりにそって進めることになります。
お店によって、たとえばこんなちがいがあります。
| くらべる点 | お店によるちがいの例 |
|---|---|
| キャンセルできる期限 | 「車を渡す前まで」「契約から〇日以内」など |
| キャンセル料 | かからない場合もあれば、決まった金額がかかる場合もある |
| 車を渡したあと | すでに次の売り先に出ていると、キャンセルが難しいこともある |
お店側の事情を言うと、契約が済むと、お店はその車を売るための準備を始めます。名義変更の手続きをしたり、業者オークションに出す手配をしたり、陸送(車を運ぶこと)の予約をしたり。そのあとにキャンセルされると、お店にも費用や手間がかかってしまいます。だから、キャンセル料という決まりがあるお店もあるわけです。
大事なのは、キャンセルできる期限と、かかる費用を、契約の前に知っておくことです。契約してから「そんなの聞いていない」とならないようにしましょう。
契約前に確認したい5つのこと
ここからが、この記事で一番伝えたいことです。契約書にサインする前に、次の5つを確認してください。
1. 減額の条件が契約書に書いてあるか
「契約後に金額が変わるのは、どんなときですか?」と聞いて、その答えが契約書のどこに書いてあるかを見せてもらいましょう。書いていない、あいまいな言い方しかない、という場合は、遠慮なく確認して大丈夫です。
2. キャンセルできる期限と費用
「いつまでならキャンセルできますか?」「そのとき、いくらかかりますか?」と聞いておきます。口で聞いた内容が契約書と同じかも見ておきましょう。
3. 入金日
車を渡してから、いつお金が振り込まれるのかを確認します。「〇営業日以内」のように決まっていることが多いです。入金が遅れたときにどこに連絡すればいいかも聞いておくと安心です。
4. 名義変更の報告
車を売ったあと、名義が自分から次の持ち主に変わったことを、どうやって知らせてくれるのかを確認します。車検証のコピーなどを送ってくれるお店が多いです。名義変更が終わらないと、自動車税の通知が自分に届くなどの心配があるので、ここは大事です。
5. 申告すべきことは先に伝える
最後は、お店に確認することではなく、自分から伝えることです。事故で直したことがある、どこかに不具合がある、水につかったことがある。こういうことは、査定のときに正直に先に伝えておきましょう。
先に伝えておけば、それをふまえた金額で契約できるので、あとから「聞いていなかった」という理由で減額されることを防げます。
| 確認すること | ひとことで |
|---|---|
| 減額の条件 | どんなときに下がるのか、書面にあるか |
| キャンセルの期限と費用 | いつまで・いくらか |
| 入金日 | 何日後に振り込まれるか |
| 名義変更の報告 | 終わったら知らせてもらえるか |
| 申告すべきこと | 事故・不具合は先に伝える |
ディーラー時代、こんなお客さまがいました。査定のときに「実は以前、ちょっとぶつけて直したことがあるんです」と自分から話してくださったんです。その分を考えた金額にはなりましたが、契約から入金まで、まったくもめることなくスムーズに終わりました。あとで見つかって話がこじれるより、ずっと気持ちのいい取り引きだったと思います。
逆に、ディーラー時代に聞いた話で、修理したことを言わずに契約して、あとから見つかって減額の話になり、お客さまもお店も気まずい思いをした、ということもありました。隠して得をすることは、ほとんどないとぼくは思っています。
もし減額やキャンセルでもめたら
確認していても、話がこじれてしまうことはあるかもしれません。そんなときは、次のように動いてください。
- 契約書をもう一度読む:減額やキャンセルの条件がどう書いてあるかを確認します。
- 理由を書面で出してもらう:「なぜ減額なのか」を、具体的に説明してもらいましょう。
- その場で返事をしない:納得できないときは、すぐに了承せず、いったん持ち帰って考えて大丈夫です。
- 第三者に相談する:自分だけで判断がつかないときは、外の窓口に相談します。
相談先としては、買取業界の団体であるJPUC(日本自動車購入協会)に、車の売却についての相談窓口があります。また、地域の消費生活センターに相談するという方法もあります。どちらも、くわしい受付の内容や時間は公式の案内を確認してください。
この記事は一般的な話です。契約の中身はお店ごとにちがうので、くわしくは契約書と、お店や相談窓口に確認してください。
売るときの流れの中で、どこに気をつけるか
減額やキャンセルの話は、売るときの流れの中で「契約」のところに集中しています。
- 査定のとき:自分から伝えるべきことを伝える
- 金額を比べるとき:金額だけでなく、契約の中身も比べる
- 契約のとき:5つの確認をしてからサインする
- 引き渡しのあと:入金と名義変更の報告を確認する
売るときの全体の流れと必要な書類は 車を売るときの流れと必要書類 にまとめています。また、お店の種類ごとのちがいや、お店選びで見るポイントは 買取店の選び方 でも解説しています。
まとめ
- 契約後の減額(再査定)は、契約書の条件に当てはまる場合に起きることがある
- 車の売買にはクーリングオフが使えない。出張査定で契約しても同じ
- キャンセルできる期限と費用は、お店の決まりしだいなので契約前に確認する
- 契約前に「減額の条件・キャンセル・入金日・名義変更の報告・自分から伝えること」の5つを確認する
- もめたときは、その場で返事をせず、JPUCなどの相談窓口も頼る
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